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令和 7年 7月号  259

サメガレイ


擬態にプラスして防御も

1.4kgの活き締めサメガレイが手に入った。下の画像は購入してきて水洗いも何もせず、まな板にそのまま載せて撮ったサメガレイの姿である。その上面側(有眼側)は大小の小石のような突起が無数にあり、ゴツゴツした表面はまるで鎧のようにも見える。サメガレイという名称は上面側がサメ肌のようにザラザラしていることから名付けられたとのことだが、とてもザラザラという生半可なレベルではなく、筆者はゴツゴツという表現の方が似つかわしいと思う。

 

 

サメガレイ上面側の小石のような突起を見ると、この表面はまさに砂のようにも見え、この形があることによって、擬態能力は他のカレイ類よりも優れた力を発揮できるのではないかと想像される。

擬態能力とは、サメガレイを含むカレイ類の皮膚にある「色素胞(クロマトフォア)」と呼ばれる細胞が、その目で捉えた周囲の明るさや色の情報をもとに、皮膚にある色素を広げたり縮めたりすることによって魚体の色を変化させることである。サメガレイは海底の砂や砂利などの色に合わせて表面の色を変え、海底にじっと横たわるとまるで砂の一部のように見える。 

サメガレイはこの擬態能力だけではなく、鎧のような上面側の皮は非常に硬いので、敵の捕食者に襲われたとしても、この頑丈な皮が他のカレイ類とは段違いの防御能力を発揮するに違いないと思われる。

更に、上の画像をよく見てもらうと確認できるように、魚体表面の白濁したヌメリが他の魚と比べると段違いに多い。ヌメリというのはとても滑りやすいので、それが多いと捕食者に捕まりにくくなる効果があり、外敵から身を守るバリアのような役目を果たすことから、その意味でもヌメリが極端に多いサメガレイは防御能力に優れていると言えるであろう。

いっぽう上画像にある下面側(無眼側)を見てみると、上面側のようなゴツゴツの突起などはなく、比較的柔らかい皮があり、指で押さえるとプヨプヨとした弾力があり、上面側とはまったく逆の質感を持った皮が存在している。

サメガレイのこういう上面側と下面側の極端な違いを見ると、サメガレイの料理展開は上と下で大きく違う方向に持っていくべきではないかと感じた。


サメガレイの解体

料理の方向性として、上面側を刺身と鮨、下面側は切身に商品化することにした。先ずは、上面側を二枚おろしにして切り離す作業である。

サメガレイ上面側の二枚おろし作業工程
1,無数の突起がある上面側のヌメリをタワシで洗い流す。ヌメリは多量で、除去には時間がかかり簡単にはできない。 6,尾ビレの付け根付近に切り込みを入れ、その切り口から逆手包丁でヒレ際を頭部方向へ切り進む。
2,下面側のヌメリはたいした量ではなく、ほとんど時間はかからない。 7,ヒレ際の切り口から、腹部を切り開き、中骨の上を切り進む。
3,ヌメリを洗い流して、水気を拭き取った状態のサメガレイ。 8,更に、山高骨の方へ中骨の上を魚卵を避けて切り進む。
4,活き締めの切り込みがされていたので、その部分を更に腹部の方へ切り広げる。 9,山高骨を越えて切り進み、上面側を切り離す。
5,頭部と胴体の間を切り離す。 10,上面側を切り離した状態。

 

続いて下面側の解体だが、上面側では皮が硬いので切り始めは逆手包丁をすることでヒレ際全体に切り口をつけたけれど、下面側は逆手包丁をしようとすると、プヨプヨとした弾力があるために刃先の抵抗がなく、逆にやりにくいと感じた。このため、ほぼ最初の段階で逆手ではなく順手に切り替え、ヒレ際に切り口をつけてから、片面おろしの作業に入った。

サメガレイ下面側の片面おろし作業工程
1,順手の方法でヒレ際に切り口をつけてから、おろし作業に入る。 3,山高骨を越えて切り進み、下面側の半身を切り離す。
2,中骨の上を山高骨の方へと切り進める。 4,片面おろしの方法で三枚におろした後に残った中骨の状態。

 


上面側は刺身と鮨

上面側の皮は硬くてゴツゴツした表面であるために、まともに出刃包丁で切るのは少し無理がある。このため、例えば皮引きについては包丁を使わずに手で引っ張り剥がす方法があるらしいが、筆者はその方法を使うのは避けることにした。

魚の皮を手で引っ張り剥がす方法というのは、もちろんカワハギの場合は当然ながら筆者も当たり前にそれをおこなうけれど、実は過去に本カツオをその方法でやって笑われた苦い経験があるのだ。あれは、もう何年前の話だろう・・・・、15年から20年くらいは経つだろうか・・・。

ある場所でやっていた「生本カツオの皮を手で引っ張り剥がす方法」を見て、これは面白いと思い、筆者は別のある場所でやって見せたのだが、それを見た人たちからは驚きの反応と共に、嘲笑の雰囲気が伝わってきたのだった。なぜなら、皮は確かに除去できるけれど、変に中途半端な形で薄皮が残り、その後の料理展開の方法が難しくなってしまったからだった。

その後、本カツオの皮を手で引っ張り剥がすことは、後悔の念を含め決してやらないことにしているが、筆者としてはサメガレイの皮を手で引っ張り剥がしたら本カツオと似たような形で薄皮が残ることにならないものかと気になるのだ。

筆者は外引きの方法でサメガレイの上面側の皮を引くことにしたのだが、確かに柳刃の刃先への抵抗は大きく、それなりに力は必要だったけれど、特に問題なく皮は引けた。だが皮を引いた後の身の表面には、ポツンポツンと非常に小さな斑点のような部分が数カ所残ったが、これは分かる人には分かる現象なのである。例えば、手抜き作業の得意な人が、数多くのマダイを三枚おろしから皮引きまでやらなければならないとなった時に、ウロコ取り作業を省いて三枚におろし、ウロコが付いたまま皮引きをするのを見ることがある。そのような皮引きをした時に、しばしば発生する小さな斑点である。

サメガレイの皮を引いた後に何カ所か残っていた極小の斑点は、柳刃の切っ先で直ぐに除去してしまったのでその画像は存在しないが、確かに筆者はサメガレイのウロコ取り作業はせずに皮引きをしたのだから(そもそもウロコはない)、そのような斑点がいくつか存在していたことに関して不思議はないのである。

背身を刺身、腹身を鮨にするために、上面側の皮を引き、冊取りする作業は以下のようにおこなった。

サメガレイの皮引きと冊取り作業工程
1,三枚におろした後の上面側半身。 5,エンガワと腹骨を除去した後に、外引き技法で皮引きをした。
2,カマと腹骨を除去する前に、腹身側のエンガワを切り離す。これはエンガワを長く確保する目的である。 6,エンガワの皮を除去する。
3,背身側のエンガワを切り離す。 7,背身と腹身を分離する。
4,カマを切り離し、腹骨を除去する。 8,腹身側に残った血合骨を除去する。

 

上の作業工程の中で、カマと腹骨を除去する前にエンガワを分離しているが、これは大きくて立派なエンガワを少しでも長い形で確保するためである。このことは上面側だけでなく、下面側を切身にする場合も最初にエンガワを外してから切身にしている。せっかく鮮度の良いサメガレイ手に入ったのだから、エンガワを切身として熱を加えた料理にするのではなく、価値のある刺身と鮨として活用したいからである。

エンガワを活用したサメガレイにぎり鮨
1,上面側の腹身を左の姿勢でそぎ造りにする。 4,二つのエンガワを並べ、左端を切り整える。
2,腹身だけで10カンの鮨ダネを作る。 5,二つのエンガワの右端を、同じ長さになるように切り整える。
3,二つのエンガワを皮引きする。 6,二つのエンガワを半分に切り、4カン分の鮨ダネを確保する。
2段目に4カンのエンガワを使ったサメガレイにぎり鮨

 

次は背身を使った刺身である。刺身の方にもエンガワを使用して魅力アップを図る。

エンガワを活用したサメガレイ刺身
1,右の姿勢で上面側の背身を薄造りで切り始める。 5,右上にも薄造りを右から並べる。
2,トレーの左上に、薄造りを右から左へ半円状の形に並べていく。 6,エンガワをそぎ造りにする。
3,キュウリを薄くスライスする。 7,そぎ造りにしたエンガワを、半円状のキュウリスライスの上に並べる。
4,スライスしたキュウリを、半円状の扇型に広げる。 8,トレーの右下に薄造り、左下にエンガワのそぎ造りを盛りつける。
サメガレイの上面側背身とエンガワを使った刺身

 


下面側はポワレにしてみた

サメガレイの上面側を使った鮨と刺身が完成したので、次は下面側である。下面側は上面側と対照的に皮は柔らかく身はプヨプヨと弾力があり、皮下に脂肪がタップリ存在していることが、それを見ただけで確認できる。サメガレイは下面側も鮨や刺身にして美味しいに違いないと思われるのだが、火を通した料理も食べてみたいという気持ちにさせる魚である。

料理イメージとして真っ先に来るのが、ソテーやムニエルなどの洋風料理である。今回はタップリの脂肪を蓄えたサメガレイの切身ということで、その素材の持ち味を引き出すためポワレにすることにした。

サメガレイの下面側を使ったポワレ作業工程
1,下面側のカマを切り落とす。 4,横半分にカットした切身の頭部側。
2,刺身と鮨用にエンガワを切り離す。 5,横半分にカットした切身の尾部側。
3,背身側のエンガワも切り離す。 6,切身に塩コショウをし、表面に薄力粉をまぶし、オリーブオイルを入れたフライパンで焼き上げる。
サメガレイのポワレが完成。

 


サメガレイの評価

サメガレイは魚体表面が白く見えるほど多くのヌメリを抱え、しかも上面側の無数の固い突起でゴツゴツしていて見かけが悪いことなどから、昔の北海道など産地での扱いは酷いものだったようである。

下の画像は北海道のある産地市場で撮った写真である。これは魚種、サイズ、鮮度などの点で、あまり高い価格が期待できない魚たちが一緒くた無造作に、トン級の特別大きなサイズの金属製コンテナの中に放り込まれている様子である。たぶんミール処理に回されてペットフードなどに生まれ変わる運命の魚たちだと想像されるが、サメガレイも昔は同じような扱いを受けていたに違いない。なぜなら、サメガレイはヌメリが多く脂が強いことから、安い魚の代名詞であったとのことであり、産地での扱いも悪く、なかなか良い値のつかない魚の一つだったようだからである。

ところが、下の画像(2017年11月3日 厚岸魚市場で筆者撮影)にあるように、近年は魚市場に上場する前の段階でサメガレイのヌメリをていねいに洗い流すなどの処置を施したりして、その価値を高める努力してきた結果、次第に値を上げてきているようなのである。 更には消費者の脂嗜好が高まったこともあり、活き締めをしたサメガレイは高級魚の仲間入りをするほどになっているとのことである。

今回筆者が扱ったサメガレイは北海道産の活き締めであり、その鮮度は申し分ないものであった。サメガレイは北海道や東北で多く獲れる魚ではあるけれど、筆者が在住する福岡で購入したサメガレイの鮮度はとても良かったように、全国どこでもその気になれば鮮度の良いサメガレイが手に入るはずである。

読者の皆さんが所属する店の魚売場でまだサメガレイが馴染みのある魚でないとすれば、今月号をここまでお読みいただいたのを機会に、是非サメガレイの扱いを試みてほしいものである。


 

水産コンサルタント樋口知康が月に一度更新している

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更新日時 令和 7年 7月 1日