FISH FOOD TIMES Back No.
No.150 アユの背越し姿造り
平成28年 6月号
No.150-2 アユの姿鮨
平成28年 6月号
No.149 スジアラ炙り刺身
平成28年 5月号
No.148 ミンク鯨の畝須スライス
平成28年 4月号
No.148-2 ミンク鯨赤身の刺身&にぎり鮨
平成28年 4月号
No.147 スマの炙り平造りとにぎり鮨
平成28年 3月号
No.146 オヒョウ刺身
平成28年 2月号
No.145 ナマズ刺身薄造り
平成28年 1月号
No.145-2 ナマズにぎり鮨
平成28年1月号
No.144 ソロバン玉の串焼き
平成27年12月号
No.144-2 ボラの洗い造り
平成27年12月号
No.143 海を隔てた魚食の違い
平成27年11月号
No.143-2 海を隔てた魚食の違い
平成27年11月号
No.142 マイワシづくし(刺身&にぎり鮨)
平成27年10月号
No.141 ヒラマサ切身姿売り
(平成27年9月号)
No.140 グルクマ刺身平造り
(平成27年8月号)
No.139 トコブシ刺身盛合わせ
(平成27年7月号)
No.138 活アイゴ平造り
(平成27年6月号)
No.137 マナガツオ炙り平造り(平成27年5月号)
No.136 ハマダイ骨付き頭付き切身(平成27年4月)
No.135 サヨリ姿造り・にぎり鮨・酢の物(平成27年3月)
No.134 真鯛にぎり鮨(平成27年2月号)
No.133 生魚対面裸売りの勧め(平成27年1月号)
No.132 イラの刺身(平成26年12月号)
No.131 ロブスター刺身姿造り(平成26年11月号)
No.130 真サバ炙り平造り(平成26年10月号)
No.129 紅鮭ステーキ(平成26年9月号)
128 コイの洗い(平成26年8月号)
127 旬線刺身盛合わせ(平成26年7月号)
126 エツ刺身姿造り(平成26年6月号)
125 メバル薄造り(平成26年5月号)
124 旬のアマダイの鮨と刺身(平成26年4月号)
123 本マグロづくし刺身盛合わせ(平成26年3月号)
122 寒メジナにぎり鮨(平成26年2月号)
121 うなちらし(うな重)平成26年1月号)
120 アルゼンチンアカエビの魅力(平成25年12月号)
119 シドニーフィッシュマーケット(平成25年11月号)
118 生秋鮭焼霜刺身(平成25年10月号)
117 カンパチ腹トロ薄造り(平成25年9月号)
116 イスズミ平造り(平成25年8月号)
115 ヤリイカ姿造り(平成25年7月号)
114 イサキ姿造り(平成25年6月号)
113 ウマヅラハギ薄造り(平成25年5月号)
112 片口鰯にぎり鮨(平成25年4月号)
111 旬鮮刺身ちらし鮨(平成25年3月号)
110 生アナゴにぎり鮨(平成25年2月号)
109 魚屋鮨鉢盛り大トロ5カン入り(平成25年1月号)
108 アラちゃんこ鍋(平成24年12月号)
107 サーモンレタス裏巻き(平成24年11月号)
106 秋太郎平造り(平成24年10月号)
105 コノシロ糸造り(平成24年9月号)
104 活鱧の刺身(平成24年8月号)
103 Bad money drives out good money(平成24年7月号)
102 コチ薄造り(平成24年 6月号)
No.101 キビナゴ開き造り(平成24年 5月号)
No.100 アトランティックサーモン薄造り(平成24年 4月号)
100号より前の既刊号を見る

食品商業寄稿文(既刊号)

食品商業2016年6月号

食品商業2016年4月号

食品商業2016年3月号

食品商業2015年12月号

食品商業2015年7月号

食品商業2015年3月号

食品商業2015年2月号

食品商業2013年7月号

食品商業2013年6月号

食品商業2013年5月号

食品商業2013年4月号

食品商業2013年2月号

食品商業2012年10月号

食品商業2012年9月号

New server counter from 1.10.2015.

ようこそ FISH FOOD TIMES へ

鮮魚コンサルタントが毎月更新する魚の知識と技術のホームページ


平成28年 7月号 151-2

アカエイ

アカエイ料理


アカエイは前ページで記した刺身や鮨だけでなく、加熱した料理も色々と可能である。

アカエイを栄養面からみると、カロリーは200gの切身で168kcal、100g換算では84kcalである。特にたんぱく質が突出して多く38.2gもある。脂質は0.6gと非常に少なく、ビタミン・ミネラルではビタミンB12とビタミンDの成分が比較的高い、とある調査で発表されている。

このタンパク質が多い事実というのは、脊椎動物の真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質の一つであるコラーゲンがアカエイには多いことを示しており、これを活用した料理も以下に紹介したい。

まずは煮付けである。

アカエイの煮付け
アカエイ アカエイ
1、3p幅の等間隔で切る。 7、湯霜を終えたら、氷水に入れて冷やす。
アカエイ アカエイ
2、幅を同じように切り揃える。 8、ザルに入れて水切りする。
アカエイ アカエイ
3、違う長さの切身をサイコロ状に切り揃える。 9、少なめの煮汁を沸騰させる。
アカエイ アカエイ
4、全てを同じような大きさにする。 10、沸騰したら切身を入れる。
アカエイ アカエイ
5、アカエイを販売する際は、比較的安値なのでたっぷりと大盛りにする。 11、強火で加熱し、沸騰したらアルミホイルを被せて煮汁が回るのを待つ
アカエイ アカエイ
6、沸騰したお湯に入れて湯霜する。 12、10分ほど加熱したら出来上がり
アカエイ
アカエイの煮付け

次は竜田揚げ。

アカエイの竜田揚げ
アカエイ アカエイ
1、アカエイの切身を水切りする。 7、1時間以上漬け汁になじませる。
アカエイ アカエイ
2、切身を鍋に移し、ブラックペッパーを降りかける。 8、小麦粉と片栗粉を半々混ぜる。
アカエイ アカエイ
3、生姜とニンニクを小さじ二分の一分擦りおろす。 9、小麦粉と片栗粉を漬け汁が馴染んだ切身にかける。
アカエイ アカエイ
4、日本酒を大さじ二杯加える。 10、小麦粉と片栗粉を混ぜ合わせる。
アカエイ アカエイ
5、醤油大さじ二杯加え、溶き卵を半分入れ、漬け汁をつくる。 11、170℃の油で二分ほど揚げる。
アカエイ アカエイ
6、切身に漬け汁をかける。 12、バットで油を切る。
アカエイ
アカエイの竜田揚げ完成
アカエイ
竜田揚げに大根おろしのポン酢を和えた一品

次に番外編として煮凍りに注目した。アカエイだけでなくアンコウやフグなどのウロコのない魚は概してコラーゲンがたっぷりで煮ると煮凍りができる。

フグは煮付けの副産物などではなく、コース料理の中に立派な料理の一つとして入っているほどなのだが、アカエイでわざわざ煮凍りを作ったなどというのはあまり聞いたことがないので、今回試しに作ってみることにしたのである。

アカエイ煮凍りの作り方
アカエイ アカエイ
1、アカエイの煮付けは冷めると、こんな煮凍りができて美味しい副産物だ 4、中の具を取り出し煮汁を漉す。
アカエイ アカエイ
2、煮凍りを副産物ではなく、料理として楽しむために、見た目の良くない部位を集めて煮付けにする。 5、蕗を煮汁と一緒に軽く煮込み、後で薄切りのニンジンを加え、粗熱をとり冷蔵庫で冷やす。
アカエイ アカエイ
3、30分ほど弱火でコトコト煮る。 6、容器から取り出しカットする。
アカエイ
アカエイの煮凍りが完成

今回はこうして一般的にあまり馴染みのないアカエイを使って以上のように様々な料理を試してみた。

アカエイの大きさは約4.5kgで、仕入れ価格は1尾1,000円だったのだが、もちろんこれは馴染みの私によくしてくれる魚屋さんに特別なお願いをしていたので、価格も儲けなしの特別なものだったという事情はあるにしても、アカエイはそれこそ「何処の誰にも注目されない魚」であるゆえに、それほど高い価格になることもまた有り得ない。

今回この記事のために、何処かの店でアカエイ料理を食べてみたいものだと思って、ネットを中心に方々に色々手を尽くして探してみたのだが、博多の近辺にそれらしき看板を出している店は皆無だった。

たぶん日本でエイの料理をいつでも必ず確実に食べようと思えば、以下のこれしかないのだろう。

アカエイ  アカエイ

生のアカエイを仕入れた店の塩干売場に品揃えされていたエイヒレの干物商品で、1パックに5枚入りで94g262円のベトナム産だった。

しかしこれは上の右画像のように軽く焼いて食べてみると、味はとても良いのだが表面に付着している唐辛子の輪切りがとんでもない辛さであり、食べた後しばらくは口の中がヒリヒリして何も入らない状態だったのだ。

そこで今度は唐辛子を指で外して食べると辛さそのものはやわらいだのだが、その後何気なく唐辛子を扱った指を自分の顔に当てたようで、今度は指で触った顔面がしばらくヒリヒリするということになって、この唐辛子は本当に何という辛さのレベルだと驚いてしまったのだった。

これは想像するに、この商品の辛さの狙いは日本ではなく、たぶん韓国向けの仕様ではないかと思われた。

筆者は昨年10月末に韓国の釜山を訪れた時、滞在したホテルの横の道路に日干しされていたのが下の画像である。これはエイの干物であり、店の前で何の違和感もなく普通にこうやって干されていたのだった。

アカエイ

韓国の人にとってエイ料理というのはホンオ料理と呼ばれ、ホンオフェ(刺身)、ホンオチム(蒸し煮)、ホンオジョン(てんぷら)、ホンオタン(鍋)、ホンオネクッ(レバーと麦芽のスープ)、などいろいろな形で食べられるようである。

このように韓国ではエイがよく食べられているし、しかも唐辛子大好きな韓国という二つの条件が揃っていたから、このエイヒレは「韓国向け仕様が日本で販売されている」と考えたのである。


さて、今月号もそろそろ終わりにしよう。

今や日本では魚の食べものとして全く注目されていないアカエイではあるが、所変われば韓国ではエイの様々な料理が専門店として何軒も成り立つほどの存在のようなのである。

アカエイ料理を食べてみて分かったのは、アカエイは見た目は少しグロテスクではあるけれども、決して不味い魚ではないということである。

今の日本では脂肪たっぷりの養殖魚がもてはやされているけれど、アカエイはその反対に脂肪はほとんどなくて肝臓にまとまっており、身の方はタンパク質のコラーゲンたっぷりという特徴を備えていて、時代の流れからは少しずれた毛色の違う魚であることは間違いない。

しかしだからと言って、見向きもしないというのは如何なものかと思うものがある。

アカエイは比較的手頃な価格で手に入る魚でもあるのだから、お客様へ食べ方の提案などを一度やってみてはどうなのだろう・・・。


前ページへ戻る


水産コンサルタントが月に一度更新してきたこのホームページへの

ご意見やご連絡は info@fish food times

更新日時 平成28年 7月1日