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令和 5年 9月号 237
カサゴ S.K.U.
釣り人以外にも関心の高い魚
Webサイトのアクセス状況を分析している Google Analytics が常時リアルタイムで発表している分析データによると、FISH FOOD TIMES のページ表示回数において、平成29年3月号No.159 オニカサゴは常にトップランクの上位に位置づけられている。他に平成28年8月号No.152コシナガマグロ、平成28年7月号No.151アカエイなどもページ表示回数の上位に来る常連である。
アクセスされているページの内容から推測できる傾向というのは、日頃魚売場において馴染みの薄い魚のことをネットの力を利用して知りたいというもので、なかでもオニカサゴはそのような関心を強く示す魚の一つだと考えられる。
そういう事実を踏まえた上でのことだが、これは筆者としても意外なことに気づいた。こうしてオニカサゴは過去にテーマとして扱っていたし、随分古い時期の平成21年のNo.70にあたる10月号ではウッカリカサゴも軽く簡単な内容で扱っていた。 (100号より古いページは分析対象となるトラッキングコードを貼り付けていない)しかし一般的に一番知られている下画像のカサゴ亜目メバル科カサゴ属カサゴはまだテーマとして扱っていなかったのである。このことは意図的に避けていたというのではなく、何故かテーマとして選抜される候補から抜け落ちてしまっていたというのが正直なところである。
カサゴは北海道から南西諸島までの全国の岩礁域などに生息し、あまり活発に泳ぎ回らず水深200m以内の海底で生活し、稚魚や幼魚など小さな魚を大きな口で丸呑みしてエサとしている。筆者が購入したカサゴには以下の画像のように釣り針が混入していたが、これは決して珍しいことではなく、漁をする時に糸が切れて、釣り針が喉に残っていることがあり、調理の際には気をつけなければならない。
釣り針は今回購入した10尾のカサゴの中の1尾だけに残っていたが、こういう確率で釣り針が入っていることも覚悟しておくべきであり、この日筆者は馴染みの魚屋さんの責任者から、釣り針混入の可能性をカサゴ購入時に告げられており、実際にそうなったのである。
下画像が購入したカサゴ10尾である。
魚屋さんの店頭に置かれ、漁師さんの名前も記されていた発泡スチロール薄箱には50尾ほど入っていて、この中から自分の手で10尾を選んだが、それらの大きさはほとんど同じであり、まさに選び甲斐がないほど均一にサイズ選別がされ、どれもほぼ100g前後だった。
もちろん、これらのカサゴはこの日の朝、魚市場から入荷したばかりだから鮮度抜群であり、しかも購入価格は10尾で1,300円と手ごろな価格だった。10尾で約1sなのでs単価は1,300円となり、安くはないように感じるかもしれないが、1尾当たりは130円にしかならないのである。
こういう100gほどしかない小さな魚は、何と言っても調理が面倒くさいので一般のお客さんはもちろん、魚を売る立場にある販売担当者も扱いを嫌がる厄介者の一つとして敬遠される魚の一つである。カサゴはとても味が良い魚の割りにあまり高く評価されていないようだが、この大きさのカサゴは幼魚や稚魚ではなく平均的な大きさの成魚である。
しかし、巻頭画像にある10尾のカサゴをフルに活用した6種類の商品はどうだろう。魚の販売を担当している皆さんであれば、それぞれの商品に幾らの売価を設定されるであろうか。手間を惜しまなければこういうことが出来るという例なのだが、受け止め方は好意的な人もいれば、逆にこんなことやってられるかと否定的な見方をする人など色々とあるはずである。
これらは様々な意見が出ることは承知の上での提案である。多少とも興味のある方は以下の記事を読み進めてほしいが、必ずしも全ての人にお役に立てる情報とは限らないとの前置きはしておこう。
面倒だとされているカサゴ調理が示す課題
カサゴ釣りは堤防やテトラなど海岸の身近な場所で手軽に出来るので、釣り初心者も親しみやすい釣り対象魚である。またカサゴは大きな口でエサに食らいついたら簡単に放さないので釣りの成果も挙げやすく、釣り人にとっては「なんだカサゴか・・・」と小馬鹿にされる魚でもある。
こういう小馬鹿にする傾向は魚売場でも似たような側面があり、トレーに丸い姿のままゴロンと入れられ、比較的安い価格が付けられ売られているのを見かけることがあるが、その売れゆきが良いのを見たことはあまりない。このようなカサゴ売れゆきが芳しくない理由の一つは、売り手も買い手も「小さく扱いが厄介」だと思っているからだろう。比較的大きなサイズのカサゴは魚市場での取引価格も跳ね上がるから、割烹や料亭などを顧客に持つ業者さんが仕入れるので、普通の魚売場には小さなサイズのカサゴしか並ばないことになるのである。
小さなサイズのカサゴは仕入れ価格も比較的低く抑えられているので売価もそれなりに手頃なのだが、何しろ「頭でっかちで身体が小さく食べる部分が少ないのに調理は面倒」なことから、売り手からも買い手からも人気ある魚としては位置づけられていない。
筆者は過去に指導先スーパーの魚売場で、カサゴが丸のままパックに入れられ売られているのを見て、このままでは売れないだろうから調理して販売したらとアドバイスしても、返答は適当にはぐらかされて、結局そのまま値下げシールが貼られ処分されているのを幾度となく見た経験がある。これは売り手も「小さなカサゴを時間をかけて調理しても、どうせまともな売価で売れないのだから、そんなことやってもムダなことだ」と考えているからだろう。
いわゆる「費用と効果のバランス」を考えると、もっと効率的に売上と利益がだせる仕事を優先したいとなるのだと思われる。この考えは一概に否定できず、とりあえず認めざるを得ないとしておこう。しかしそのような考え方をこの何十年間全国のスーパーの魚売場が押し進めてきた結果、水産部門の店内売上構成比は年々漸減を続けているのだ。スーパーマーケット販売統計調査における2023年7月売上構成比は、畜産11.0%、青果13.2% 、惣菜11.2%であるのに対して、水産はほんの8.5%にすぎないのである。
つまり、筆者がこれまで何度も繰り返し言い続けてきた「効率化、合理化、省力化が魚売場をダメにした」と相通じるものがあるのだ。
ノルウェーから空輸された生のアトランティックサーモンはウクライナ戦争や円安の影響を受けて非常に高い価格に高止まりしているが、こういう類いの大きなサイズの養殖魚は既に三枚おろしされて納品されるスタイルが多いことから、魚部門の作業場で切身なり刺身なり鮨なりに加工していくのも簡単であり実に効率的である。今時こういう楽で合理的な作業しか求めない魚は重宝されるけれども、まったく反対にカサゴのような小さくて扱いが面倒な魚は仕入れ段階から敬遠され、スーパーの魚売場からは姿を消してしまっている。
外国から輸入され高い売価がつけられた養殖サーモンは魚売場にあるけれど、手ごろな価格の国産カサゴは魚売場に存在しない。これと似たようなことがずっと長い間日本全国のスーパーの魚売場で生じてきて、その結果スーパーの魚売場では国産魚の品揃えがどんどん少なくなり、限られた種類の養殖魚や解凍魚ばかりが幅を効かすことで魅力を無くしていったのだ。そこに角上魚類のような魚専門店が様々な国産魚を豊富に品揃えし、対面売場でお客様が苦手な調理サービスを徹底することなどでスーパーからお客様を奪い取っているのである。
角上魚類で注目すべきことは「魚売場に惜しみなく人員をどんどん投入する」ことで、仕入れた魚をすべてお金に換えるノウハウがあり、何とロス率が1%以下というのだから驚きである。つまりそこにはスーパーの魚部門で今も繰り返されている「省力化」とは無縁の世界があるということだ。
筆者は、衰退してしまったスーパーの魚売場が復活する鍵は「国産生魚の見直し」だと考えている。その一つの象徴的存在として、今月号のテーマであるカサゴを挙げることが出来るであろう。小さなカサゴを商品化し、これを売って儲けることが出来るかどうか、そのことは魚売場運営の本気度を試す試金石の一つとして見ることが出来ると考える。
カサゴの商品化
それでは、これからその面倒だとされているカサゴ調理を筆者がおこなったので、以下に画像で紹介していくことにしよう。先ずは小さいウロコの除去と少し手こずるエラの分離作業工程である。
少し手こずるエラの除去 | |
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1,ウロコは小さく数も多いので、流水をかけながら丁寧に頭部も含め隅々まで除去する。 | 4,左手で魚体を左に引っ張り、エラに出刃包丁を当てたまままな板に押さえつけ分離する。 |
2,エラに出刃包丁の腹を当てる。 | ※カサゴのエラは魚体が小さい割りに除去しにくいので、その作業を容易にするためのポイントは @エラ膜を切っておくこと |
3,出刃包丁の腹をエラに当てたまま右に傾けて、左手で魚体を左に引き起こす。 | ※エラ膜除去を容易にするポイントのAは、カマ部に接したエラの付け根を切り離しておくこと |
カサゴ10尾すべてのウロコとエラを除去し終えてから、次に2尾を唐揚げ用に商品化した。
カサゴ唐揚げ用調理作業工程 | |
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1,上身側の背ビレの際に切り込みを入れる。 | 6,山高骨より向こう側へと切り進み、尻ビレ際まで切り開く。 |
2,中骨を山高骨の方へ切り開いていく。 | 7,出刃包丁で中骨を押さえ、左手で胴体を掴み、左右に拡げる。 |
3,そのまま腹骨も切り、尻ビレ際の皮近くまで切り開く。 | 8,尻ビレの付け根と中骨がつながっている部分を切り離す。 |
4,中骨と頭部の付け根部分を切り離す。 | 9,最後に中骨の一番尾ビレに近い細い部分を切り離す。 |
5,下身側の背ビレ際から切り開く。 | 10、唐揚げ用に中骨を分離したカサゴ。 |
カサゴ唐揚げ用2尾入り商品 |
次に、カサゴの煮付け用商品化だが、これは後の料理への応用のことを考えて、便宜上煮付け用としたのであって、どちらかと言えば干物用とする方が使い勝手は良いかもしれない。
カサゴの煮付け(干物)用商品化作業工程 | |
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1,首の付け根部分の中骨まで切り込むが、中骨は切り離さない。 | 5,しぶとく残る白い浮袋と血合いなど、水をかけながら道具を使って洗い流す。 |
2,首の付け根の切り口部分から上身側の背ビレ際に沿って切り開く。 | 6,内臓や血合いなどをしっかりと洗い流した状態。 |
3,中骨を過ぎて腹骨を切り、そのまま切り開く。 | 7,魚体に付いた水分を除去するためにキッチンペーパーの上に乗せる。 |
4,尻ビレ際の皮近くまで切り開く。 | 8,キッチンペーパーを上から被せ、魚体表面の水分を吸収する。 |
カサゴの煮付け(干物)用商品 |
次の2尾は味噌汁用。これは単純に頭付きのまま二つ切りにするだけだけなので、作業上において何も特に変わったことはしないけれど、これらも10尾の中の2尾なので一応記すことにしよう。
カサゴの味噌汁用商品化作業工程 | |
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1,カサゴの第一背ビレ前から、第一尻ビレ前を結ぶ対角線上に刃先を当てる。 | 3,固い中骨を強く押し切って、約半分の大きさにする。 |
2,狙った対角線上に刃先を切り入れる。 | 4,硬い背ビレを刃元で除去する。 |
カサゴの味噌汁用商品 |
残りの4尾は1尾を刺身姿造り、3尾分をにぎり鮨にした。姿造りには頭や中骨が必要であり、にぎり鮨用にはもちろん頭も中骨も必要ないけれど、カサゴの頭と中骨を何も活用せずに捨ててしまうのはもったいないので、これらも見かけよく姿を残して商品にすることにした。
少し奇異に思われるかもしれないが、姿造り用に頭と中骨がつながった形で調理したものと同じ姿の骨だけを「骨煎餅から揚げ用」として商品化した。このため骨の形は基本的に全て同じである。
カサゴの姿造り準備、及び骨煎餅唐揚げ用の調理作業工程 | |
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1,上身側の首の付け根から、胸ビレの後ろにかけて切り込みを入れる。 | 6,そのまま切り進め、背ビレの際まで切り開き、下身側を切り離す。 |
2,上身側の尻ビレの際に切り込みを入れ中骨まで切り開く。 | 7,もう一度、上身側の方に戻り、山高骨の接着部分を頭部に向けて切り離す。 |
3,上身側の背ビレの際から中骨まで切り開く。ここで注意することは、敢えて意図的に、上身側はこの段階で作業を終えておくこと。 | 8,今度は尾部に向けて、山高骨の接着部分を切り離していく。 |
4,下身側の尻ビレ際から切り開く。 | 9,最後に上身側を分離する。 |
5,切り開きは山高骨で止めず、そのまま背ビレ側へと切り進める。 | 10,胃袋や血合いなどを洗い流した後の状態。 |
カサゴの骨煎餅唐揚げ用商品 |
読者の皆さんのなかには、上に紹介した作業工程の一部に関して「なぜこんなことを・・・?」と不思議に思われた方もいらっしゃるのではないかと思う。それは「上身側を裏返して二度包丁を入れている」ことである。これは姿造りをする時に三枚おろしを出来るだけきれいに仕上げるポイントなのだ。目的は「頭部と中骨の間に生じる段差の空間をつくらないようにする」ためである。
まあ、これは姿造り刺身の準備作業を一度でもやった人だったら、経験上からその調理作業のやりにくい部分は理解できるはずである。大きな天然鯛でも小さなサイズのカサゴでも同じなので、このやり方をおこなったことがない人は是非試してみてほしい。歩留まり率が向上するだけでなく、中骨の部分の見た目も良くなり、このちょっとした技法はたぶん重宝するはずだ。
次は姿造り刺身とにぎり鮨の商品化である。作業工程として皮引きはカサゴという小さな魚体であることから内引き技法でおこなったのだが、このため頭上のカメラから魚は映らず、筆者の腕だけが大きく見えていたので画像は割愛した。
カサゴの姿造り刺身及びにぎり鮨作業工程の一部 | |
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1,皮引きをした後のカサゴ4尾分。 | 3,ボールに水を張り、この中に骨抜き道具を漬け入れ、付着した血合い骨を分離する。 |
2,骨抜き道具で血合い骨を引き抜く。 | 4,血合い骨の除去作業を終えた4尾の半身。 |
カサゴにぎり鮨(半身を1カンとしたので、シャリは少し多めにし、20gでにぎった) | |
カサゴ姿造り刺身(皮もボイルして刻み、あしらいとして活用している) |
これでカサゴ10尾を使った6S.K.U.が完成した。1尾130円のカサゴがこのように変身したのだが、ここまできて「こんなこと、やってられない」と思うのか、それとも「少しだけ、同じようなことをやってみようかな」と思うのか、皆さんはどちらの方だろうか。ところが、カサゴの醍醐味というのはここで終わってはいけないのだ。この後の料理提案を上手におこなうことが出来れば、今回の記事内容が活かされることになると思われる。
カサゴ料理
カサゴ料理はあまり難しくなく、簡単に美味しく食べられるということが最大の特徴と思われる。そのなかでも一番簡単なのが、味噌汁である。
二つ切りにしたカサゴを軽く湯霜し、冷たい昆布水に入れ、火が通るまで煮たら、火を弱めて味噌をとくだけである。お椀に入れたら仕上げに刻みネギを入れて完成。
次はカサゴの煮付け。カサゴは小さくて1尾を丸のまま煮付けにしたのでは見栄えがしないことから、開きにすることでお皿の大きさに見劣りしないようにした。
カサゴの煮付け調理工程 | |
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1,煮汁に生姜を入れ、一煮立ちさせる。 | 3,落とし蓋をして、時々お玉で煮汁を掬って魚の表面にかける。 |
2,弱火で5分ほど煮る。 | 4,最後にシシトウを入れて完成。 |
カサゴの煮付け |
今度はカサゴの本命料理とも言える唐揚げである。骨まですべてを美味しく食べられる料理であり、その身の美味しさだけでなく、絶妙な食べやすい硬さのある骨の食感、そして口に入れるのにちょうど良い大きさなど、非常に満足度の高い料理である。
カサゴ唐揚げ調理作業工程(二度揚げ) | |
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1,塩コショウをして、片栗粉をまぶしたカサゴを160度の油に入れる。 | 4,油の温度を180度に上げ、二度揚げに入る。 |
2,カリッとなるのをじっくり8分ほど待つ。 | 5,中骨の部位も二度揚げに加え、180度の高温で約2分間ほど揚げる。 |
3,底が浅くて油の中に入りきれない部分にはお玉で油を掬って何度もかけ続ける。 |
6,二度揚げをして出来上がったカサゴ。2尾の唐揚げの他、頭と中骨の骨煎餅が3尾分ある。 |
カサゴの唐揚げ(二度揚げ) |
カサゴの唐揚げという美味しい料理が出来上がった。しかし今回はこれで終わりではない。これに負けず劣らずのおまけ料理が出来上がったのである。それが以下の画像である。
料理名は「カサゴの骨煎餅唐揚げ」だ。実はカサゴをこういう形にして食べるのは筆者自身初めてのことであり、カサゴの唐揚げと同じように美味しいのは間違いないはずだとは思いながら、いったいどんなレベルの味なのか食べてみないと分からないと思っていた。
ところが、これを食べてみたところ「これは、あと何尾でも食べられるぞ・・・」という美味しさのレベルだったのだ。この料理を食べている途中で思い出したのはウナギの骨煎餅だった。筆者はウナギ料理屋さんで出されるウナギの骨煎餅が大好きで、ウナギ料理が出される前に突きだしで骨煎餅が少ししか出てこないと、追加注文をするくらいの大好物なのだが、まさにこれはそれ以上に食べ応えがある美味しい骨煎餅だと感じたのだった。
小さくても懐の深い魚
さて、今月号は予想外に長くなってしまったが、そろそろまとめに入りたい。締め括りとして表現したいことはカサゴという魚の懐の深さというものだ。昔からの言い伝えに「山椒は小粒でぴりりと辛い」というのがあるけれど、こんなに小さな魚体でこれだけ色んな料理展開が出来て存在感を発揮する魚は他になかなかないのではないかと感じた。
スーパーの水産部門売上げが年々漸減傾向を辿り続けて久しくなるが、今や外国から輸入された養殖魚や解凍魚に頼りっぱなしで、それらを勝手にどんどん値上げされても黙って受け入れるしかなく、そのことが原因となって利益確保に苦しんでいる水産部門の実態を知ると、悔しいというだけではなく腹立たしいとさえ感じることが多い。
空輸の生サーモンの仕入れ価格がどんなに高くなろうとも我慢して使い続けていくしかないという現状は、やはり魚部門にとって歓迎できない異常事態である。それよりもカサゴのような小さいけど懐が深く、しかも比較的安価な国産鮮魚をいかにして販売するかに知恵を使ってほしいものである。
現在、トリチウム処理水のことで日本の水産業は困難な局面を強いられているが、そのことをプロパガンダとして利用している中国は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出の年間予定量よりも、約6.5倍の放射性物質トリチウムを既に放出しているのである。そういう自分のことは棚に上げて他国を一方的に攻める中国なんかに水産物を輸出などしなくて良いのだ。
今こそ、魚を販売する業界の人たちは「国産鮮魚を積極的に仕入れて販売すべき」である。
水産関係者が福島沖の魚だからということで買い叩くなどはもってのほかであり、他地域と同じような鮮度で同じ大きさの鮮魚であれば同等の価格で購入するべきであろう。水産関係者が自分は日本の水産業のために何が出来るかを考えてみる時に、一つの例として「国産鮮魚を積極的に仕入れて販売する」ということも選択肢にあるのではないだろうか。
カサゴは典型的な国産鮮魚の一つである。同じような位置づけの国産鮮魚は他にも色々とあるはずであり、様々な国産鮮魚を今だからこそ積極的に仕入れて販売してほしいものである。
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水産コンサルタント樋口知康が月に一度更新している
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更新日時 令和 5年 9月 1日