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鮮魚コンサルタントが毎月更新する魚の知識と技術のホームページ
令和 5年 3月号 231
貝料理
貝シーズンの幕開け
例年3月1日は「貝シーズン幕開け」と筆者は考えている。3月3日のひな祭りではハマグリを食べることが恒例であり、この日は年に一度だけハマグリが爆発的な売れゆきを示す。一般家庭でハマグリを食べるとすれば、本当に年に一度のひな祭り当日だけというところも多いようである。だが国産ハマグリの相場が2,000円/kgを超えていて、ハマグリ1個が何百円もするとなると、これにも手が出せずに同じ二枚貝のアサリで茶を濁してきたことから、ひな祭りではこのところ何年もの長い間アサリが非常に良く売れていたのである。このように、3月に入るとアサリやハマグリが一気に売れ出すので、筆者は水産関係者にとって貝シーズンが幕開けしたのだと捉え、その販売体制を執るべきであると考えてきた。
ところが、昨年1月30日(日)のTBS報道特集で「輸入アサリが国産に産地偽装」というテーマで放送され、この放送をきっかけにして2月からは魚売場でアサリがほとんど売れなくなり、それ以降は国産アサリの相場は2,000円/kg前後となってしまって、まるでアサリは魚売場から姿を消したような存在となった。仮に売られているとしても国産アサリが100g250円以上、中国産アサリでも100g150円の売価が珍しくなくなってしまい、現在、あるネット販売のホームページでは、1kg単位の国産アサリを何と4,100円/kgで販売している事実があるのだ。
2022年はこういう事件でアサリが全然売れなくなってしまって、1年を経過して「人の噂も何とやら」でそろそろほとぼりも冷める頃かなと思っていた矢先の12月13日、熊本県荒尾市の水産加工業者が7,000トンを超える輸入アサリを国産と偽って販売していた事実が発覚し、農政局から是正指導を受けたのである。
これには「何とまあ、性懲りもなく・・・」と水産関係者として溜息をつくばかりである。しかし嘆いてばかりでも仕方ないので、貝シーズンの幕開けと見ている3月に、このホームページとしても何とか「貝の需要を盛り上げる手助け」みたいなものを企画してみようと考えた。そこで、筆者はこれまでずっと懇意にさせていただいている魚売場に行って、とりあえず題材の一つとしてハマグリを購入することにした。
この店は貝類をこのように品揃えしている。福岡県久留米市にある生鮮特化型のスーパーだが、なかでも魚売場は突出した魅力を放っている。筆者のように車で1時間ほどの時間をかけて福岡方面から魚だけを買いに来店されるお客様は珍しくなく普通のことであり、魚売場の魅力が店の商圏を広げるという典型的な例となっている。
取材を申し込んで会社の了解を受けたわけではないので具体的な店名は伏せておくが、この店の10時の開店時間から30分ほどの賑わいはまさに尋常ではなく、店の扉が開くと同時に店の入り口の外に並んで待っていた何十人ものお客様が、本当に「走って」魚売場に駆けつけ、我先にと裸売りの生魚売場に並べられた新鮮な魚を選ぶのだ。そして、それらを作業場で待ち構えている従業員に出来るだけ早く渡し、作業場の中では3人がかりで丸魚の調理を受け付けて捌くシーンが続き、次々と魚が売れていって開店から30分間だけで何十万もの金額が売れるという爆発的な売れ方をするのだ。今時、本当に珍しい大変繁盛している魚売場なのである。
この企業は過去のある時期に会社として業績がおかしくなって、結局ある企業に買収されたのだが、筆者はその買収元の企業から出向の形で運営を任された新社長に呼ばれ、魚売場を5年間指導させていただいた。そしてこの企業はほぼ5年間で見事に業績を持ち直し、当時の社長はその類い稀なる業績回復の手腕を認められ、買収元の親会社から表彰されたのだった。
筆者はこの店の魚売場の商売スタイルが非常に好きであり、従業員の方々とは今でも親しくさせていただいていて、この店は筆者にとってなくてはならない無二の存在なのである。この魚売場の何が好きかと問われれば、即座に答えられることは「素晴らしい品揃えを誇る生魚の裸売りスタイル」である。このことは筆者が指導に入る前からの特徴であり、このことについて筆者は何も特別に変わった指導はしていないと思っていて、以前からの特徴そのままである。結果的に水産部門の指導が上手くいった理由は、その販売スタイルが自分の考え方と感性に合い、基本的に筆者が好きな魚売場の形だったからだと思う。当時、特に鮨と刺身の商品群、更に計数管理のことについては研修時に特に力を入れて指導したことを覚えているが、残念ながら刺身商品群のお造り分野だけは筆者の力で改善させることができたという手応えはなく、やはり今でも刺身売場を見て思うことは、もう少しどうにかならなかったものかとの心残りがあるのである。
この日、その店の貝類コーナーには、タイラギの貝柱は韓国産の1個約300円もあるが、有明海産で1個が約500円もするものもしっかり品揃えされていたし、今や珍味であるタイラギのワタも1パック980円で売られていた。更に、ホタテ貝柱、サザエ、国内産ハマグリ、韓国産ハマグリ、ホンビノスガイ、トコブシ、殻付きカキ、剥きカキ、アサリ、ホッキ貝、などがあり、いつも品揃えされているはずのアワビはこの日は品切れしていた。そして、筆者も今回初めて見ることが出来た貝があった。それは以下の画像である。
これは山口県田布施町から入荷したスダレ貝という名前の貝である。その道50年近くとなる魚売場運営責任者も過去に一度しか見たことはないということで、他のベテラン従業員も初めて目にしたと言っていた。分類はマルスダレガイ科リュウキュウアサリ亜科スダレガイ属に属し、その由来は成長線と交差する黒い縦線が簾(スダレ)を組む竹のように見えるからということだ。
この貝を家に持ち帰り、料理するまで購入してきたアサリやカキ、ハマグリ、ホンビノスガイなどを、全部一緒に塩水を入れた大きなボールに保管していた。そして他の作業をしている横でガラガラと大きな音がするのでボールに目をやると、このスダレ貝が勢いよく動き回っていて、貝の殻と殻がぶつかる音がしていたのだった。
スダレ貝は足をスピーディに伸ばしたり縮めたりして動いていて、アサリなど他の貝は驚いたように殻をしっかりと閉じて身を防御しているようだった。筆者は一般的に貝というのは動きが概して鈍いという印象を持っていたが、このスダレ貝の長く伸び縮みする赤い大きな足を使った俊敏な動きには驚いてしまった。殻を開いてみると 、その赤い足は意外に小さいけれど、独特な色が存在感を放っていた。
1,スダレ貝酒蒸し
スダレ貝は初めて見た貝なので、どんな味なのかとても興味があったが、無難な形の酒蒸しにした。
スダレ貝酒蒸し |
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1,フライパンにスダレ貝を入れ、日本酒を大さじ4入れる。 |
2,貝殻が開くのは意外に早く、待つこと2分だった。直ぐに火を止めて料理終了。 |
スダレ貝の両殻付き3コ盛り |
スダレ貝の片殻2コ盛り |
貝の料理
スダレ貝の購入は想定外であり、こういう展開になってくると俄然面白くなり、せっかく貝が美味しい季節を迎えるのだから、ハマグリだけはでなく色々な貝の料理をしてみようという気持ちになった。そして頭の中で描いたのは、アカガイを刺身ではなく鮨、ホッキ貝は鮨ではなく刺身、タイラギのワタは定石通りに酢の物にするとして、カキはやはり香ばしい焼きガキ、そして最近流行のホンビノスは定番のクラムチャウダー、当初の主目的であったハマグリは予定通りお吸い物とすることだった。
水産関係者の皆さんにとって、以下の記事はあまり新鮮な知識ではなく学ぶことはないかもしれないが、もしひとつでもお役に立つ情報があれば幸いである。スダレ貝を含めて、以下に貝の種類ごと順番に料理工程を記していくことにしよう。
2,タイラギワタ
二つ目の貝はタイラギ。それも今や珍味となったタイラギのワタである。この店ではタイラギの貝柱は韓国産が9個入り2,580円だから1個は約300円、有明海産3個入りパックで100g1,380円なので1個が約500円もしていた。これらがしっかり品揃えされているなかで、今や珍味として扱われるタイラギのワタも1パック980円で売られていた。
もしタイラギの殻付きがあったら姿造り用として購入したかもしれないが、この日はあいにく入荷がなかったようなので、1コが500円もする貝柱は購入せずにタイラギのワタの方だけを購入して以下のように料理した。
タイラギワタの酢の物 | |
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1,購入した1パック980円のタイラガイワタ | 4,どの程度まで掃除するかはその人次第。 |
2,薄い塩水でもみ洗いする。 | 5,ザルの中の塩水で洗った後のワタ。 |
3,内臓などの付着している部分を除去する。 | 6,ハカマ、足、筋などのワタ。 |
8,大根おろしを盛り、ポン酢、刻みネギ、一味をふってタイラギワタの酢の物が完成。 |
ちなみに、タイラギの殻付き画像は手持ちがないので、以下の画像はネットから拝借して貼り付けた。
昔、有明海でたくさんのタイラギが獲れていた頃は、貝柱は別としてもワタは庶民的な食べ物だったのに、今や有明海ではタイラギがほとんど獲れなくなって、ワタも珍味となり高級品の仲間入りをしてしまった。
3,ホッキ貝
次はホッキ貝。水槽の大きなカゴの中で元々どれだけのホッキ貝が入れられいたのか知らないが、最後の1個を購入した。
ホッキ貝としては大きい方だと言っても1個が398円である。冷凍真空パックで仕入れることの出来るホッキ貝鮨ダネの仕入れ価格は1枚20〜30円だと思うので、これは10倍以上の値段であり高級貝だ。これを以下のように殻付きの姿造り刺身にした。
ホッキ貝姿造り刺身 | |
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1,ホッキ貝 | 6,足を観音開きにしたら、切り開いた足の部位に付着している内臓を刃先で削り取る。 |
2,二枚貝の殻を開け、中身を取り出す。 | 7,内臓を削り終えてから、観音開きにした足の部分を二つに切り離す。 |
3,足を上、内臓を下にして、その間に刃先を切り入れる。 | 8,内臓を掃除し、二つに切り離された足部分 |
4,足と内臓部を切り離す。 | 9,ハカマの部位を包丁で掃除する。 |
5,足の突端を左にして、右側の付け根部分から切り進め、観音開きにする。 | 10、可食部部位を薄い塩水で軽くボイルした後に、薄造り刺身にする。 |
二枚貝の殻を使ったホッキ貝姿造り刺身 |
まさに「残りものに福あり」で、ホッキ貝の薄造り刺身は甘みが強く、実に美味しいと感じた。
4,アカガイ
アカガイは韓国産なので比較的安く、下画像のように山積みされ1個198円で売られていた。
アカガイは貝では珍しく人間の血と同じヘモグロビンを含んだ血であり、調理をする時はまな板が赤く染まるけれど、刺身や鮨にした時には色が赤くて見栄えがするので、刺身や鮨の商品の付加価値を高めるには重宝する貝である。しかし国内産は漁獲が激減していて非常に貴重で高価となっていて、この店でも韓国産しか扱っていなかった。
今回購入したのは3個のみだった。どうやってそれなりに見栄え良くするかを考えてみたが、やはり殻を使うしかないと判断し、にぎり鮨には邪道なのかもしれないけれど、遊び感覚でトレーに殻を入れ、紐と呼ばれる部位を飾り、アカガイにぎり鮨を見栄え良くしてみた。
アカガイにぎり鮨 | |
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1,アカガイを3個準備した。 | 7,包丁で掃除して内臓などを除去した状態。この後、塩揉みをしてヌメリを取り除く。 |
2,アカガイの殻を外した状態。 | 8,鹿の子模様の飾り包丁にする。アカガイの下にサラシかキッチンペーパーを丸めて敷くと、飾り包丁を入れやすい。 |
3,足の部位を掴み、内臓部分との間の付け根に切り込みを入れ分離する。 | 9,蝶々模様の飾り包丁にする。 |
4,足の突起部を左にして、反対側から切り開いて観音開きにする。 | 10,縦に等間隔の飾り包丁を入れる。 |
5,観音開きにした足の部位に残っている内臓を刃先で削いで除去する。 | 11,紐の部位の血や汚れを刃先で削ぎ取る。 |
6,紐と呼ばれる部位に付いているエラを切り外し除去する。 | 12,飾り包丁を終え、紐も掃除を終えた状態。 |
13,アカガイの殻を並べ、そこに紐を飾り、これらでにぎり鮨を演出した。 |
5,ホンビノスガイ
下画像のように、1袋16個入り1,280円で売られていたのが、最近めっきり注目度の高いホンビノスガイである。
袋から取り出すと、まるで一見するとハマグリである。
ハマグリとの違いを確認するために、以下の画像を見てもらいたい。
左がホンビノスガイで、右がハマグリである。横に並べて比較すると違いを良く理解できるが、ホンビノスガイだけが置かれているとハマグリだと間違えてもおかしくないと思える。
以前日本でこの貝の仲間は、分類上ではVenus属に属していたので、ビーナス貝のビノス(美之主)とのいう名称だった。その後和名はビノスガイとなり、それに「本」をつけたので、ホンビノスガイであり、名前を漢字で記すと本美之主貝となる。別名は、大アサリ、白ハマグリ、オオハマグリ、と呼ばれたりするが、どれも正式な名称としては通用しないし、こういう名称を魚売場で使ってはいけない。
このホンビノスガイは元々日本に生息せず、1998年に東京湾で発見されたが、原産地の北米大陸から船舶の船体に付着してやってきたようで、アメリカでは重要な食用貝であり広く漁獲対象とされている。日本での繁殖が確認されたのが比較的近年であり、アサリ漁場に多く生息するため、かつては邪魔者として扱われることが多かった。しかし低塩分に対する耐性があり、アサリやハマグリが生息不可能な水域にも生息し、砂抜きも容易であり、食味の良さも注目され近年は人気が高まっている。
このホンビノスガイを使った有名料理と言えばクラムチャウダーであろう。これはサンフランシスコの観光名所フィッシャーマンズワーフの名物としてよく知られている。クラム(Clam)というのは総称して2枚貝のことを指し、くりぬいた丸いパンの中にチャウダー(chowder)という魚介類と野菜類を煮込んだスープと一緒に入れたものが、以下の画像のクラムチャウダーである。
この画像は筆者が2009年にサンフランシスコに行った時に食べたクラムチャウダーである。上左の画像は丸いパンの中をくり抜いて外し、そこにスープを入れて蓋をした状態である。くり抜いたパンが皿の左横に添えられており、これも食べることが出来る。右上の画像は蓋を外して中のスープが見えるようになっている状態であり、もちろん蓋のパンも食べることが出来る。パンをくり抜いてカップの替わりにし、その中にスープを入れるという面白い発想の料理だった。こういうことは筆者にとって想像も出来なかったことであり、とても驚いたことを覚えている。
今回は、この日購入したホンビノスガイでクラムチャウダーを作ってみることにした。
ホンビノスガイのクラムチャウダー | |
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1,ホンビノスガイを8個フライパンに入れ、白ワインを大さじ2加える。 | 8,タマネギに火が通ったら、粗みじんに刻んだセロリ1本分を入れる。 |
2,蓋をして、殻が開くのを待つ。 | 9,ジャガイモを5o角ほどに切って加え、炒める。 |
3,殻が開いたら直ぐに火を止め、別の場所で冷ます。ワインの貝汁は捨てない。 | 10,牛乳400mlを加える。 |
4,ベーコン2枚を細く切り、焦げ目が付くように炒める。 | 11,コンソメ小さじ1を入れる。 |
5,バター10gを加える。 | 12,フライパンで酒蒸しをして、別に残していたワインの貝汁を加える。 |
6,粗みじん切りにしたタマネギを加える。 | 13,ホンビノスガイは殻から身を取り出し、4つ切りほどの大きさに切り、最後に加える。 |
7,タマネギに火が通るまで炒める。 | 14,30分間は弱火で沸騰させないように気をつけ、時々かき混ぜながらゆっくりと煮る。 |
仕上げに刻んだパセリをトッピングして、クラムチャウダーの完成。 |
出来上がったホンビノスガイクラムチャウダーは、飲むスープと言うよりも「具だくさんの食べるスープ」という感じであり、ミルク風味も良く、非常に美味しくて高い完成度であった。このクラムチャウダーという料理はまだあまり一般的ではないようであり、ホンビノスガイという商品を売り込むには格好の料理提案になると思われる。
6,殻付きカキ
貝の6番目はカキである。今時は剥きカキが主流で、殻付きカキはあまり好まれないようだが、剥きカキにもピンキリがあって、中には塩水で水膨れさせられていて焼いたりすると途端に萎んでしまい、哀れな大きさになる種類の安売り用塩水入り生カキパック商品も販売されているので、カキを仕入れる際には価格だけを優先しないように気をつけたい。その点で殻付きカキは誤魔化しようがないので、身が太っているか痩せているかは産地と時期の選択次第で品質は決定される。
殻付きカキを一番素朴に美味しく食べられる焼きガキを作ってみたが、二枚の蓋がそのまま付いた状態で焼く方法もあるが、筆者は以下のような方法が好みである。
殻付き焼きガキ | |
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1,宮城産殻付きカキを3個準備した。 | 5,丸い方の殻の中に沈んだ中身は、そのままだとボリューム感がなく、見栄えが良くない。 |
2,平らな殻の内側に沿って貝起こし道具の先端を入れ込む。 | 6,殻から中身を取り出す。 |
3,貝柱のある位置をめがけて、金属の先端をゴリゴリと動かす。 | 7,反対に裏返して殻に盛り直すと、丸い殻でもボリューム感が出て見かけが良くなる。 |
4,殻の蓋が少し緩んだら、左手で平らな殻を持ち上げて殻を開く。 | 8,味付けは何もせず、グリルに入れる。 |
5,丸みを帯びた殻に、中身が残った状態。 | 9,適度に色目が付いて焼き上がった状態。 |
殻付き焼きガキは、特に味付けしないで、そのままが美味しい。 |
7,ハマグリのお吸い物
最後に今回の主目的だったハマグリである。購入したのは千葉産ということなので、有名な九十九里浜産なのかもしれないが、そこまでは確認しなかった。
いっぽう、福岡県糸島市の加布里地区では、全国でも貴重な純国産の天然ハマグリがあり「筑前海加布里産天然蛤」の名称で販売されている。 糸島漁協加布里支所ではハマグリの資源を守るためハマグリ会を組織し、漁獲時期や漁獲サイズなどの制限を取り決める資源管理型漁業を行っていて、 ハマグリ漁は11月から3月末までの期間限定となっている。
千葉県九十九里浜や福岡県加布里などで漁獲される純国産ハマグリは非常に貴重で価格も高く、その大きさにもよるが1個が何百円もするのが普通である。今回筆者は千葉産ハマグリを特別に5個700円というサービス価格で分けていただいたが、3月に入りひな祭りが近づくと同じような国産ハマグリが何倍もの売価で売られていも驚いてはいけないのである。
購入したハマグリを使って、3月3日のひな祭りでは主役となるはずのハマグリのお吸い物を以下のように作ってみた。
ハマグリのお吸い物 | |
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1,国産ハマグリを5個準備した。 | 3,弱火でゆっくりと構え、殻が開くのを待つ。 |
2,ハマグリを入れる30分前から、水に昆布を浸しておく。 | 4,弱火だからと思うが、殻が開くまでの時間は意外に長く、一つ目が開くのに8分以上の時間を要した。 |
吸い物は塩と醤油で多少味を調え、塩茹でをした菜の花を添えて完成。 |
3月は貝商品を売り込もう
さて、今月号は何とか FISH FOOD TIMES らしい内容の記事になったのではないかと思うが、今回のテーマとしては「貝の魅力を再発掘し、何か一つでも貝の販売促進につなげてもらいたい」というものだった。
貝をテーマとする時に悩ましいのは、一つの種類の貝だけだとストーリーを描き、起承転結の物語として広がりを持たせるのはとても難しいということである。例えば、ハマグリだけをテーマにしたのでは、魚の販売とは関係ない歴史や文化へと記事内容を広げなければ紙面が持たないのである。そういうような事前に考えなければならない段階で頭を悩ましていたことが、今回は運良くスダレ貝に出会い、その出会いがきっかけとなって悩みを解決する糸口を提供してくれることになった。このため、今回はスダレ貝様々なのだ。
そういうことから、今回は7種類の貝を集めたトータルでの読み応えある内容にすることを試みた。結果として、長い紙面にはなったものの、その中身がどれだけ濃いものとして評価されるかは筆者の知るところではなく、読者の皆さんの感想にかかっている。
筆者としては、昨年から逆風が吹き荒れている貝類の販売に立ち向かう術を少しでも読者の皆さんに提供できたらとの思いである。是非とも、今年は貝商品の売上げを伸ばしてほしい。
SSLで安全を得たい方は、以下のURLにアクセスすれば、サイト内全てのページがセキュリティされたページとなります。 |
https://secure02.blue.shared-server.net/www.fish-food.co.jp/ |
水産コンサルタント樋口知康が月に一度更新している
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更新日時 令和 5年 3月 1日