緑化工において生物多様性の保全に配慮する事は、いわゆる「外来生物法」等に関連する法律の整備から増す一方です。これに応えるべく、在来種を用いた手法では、市販の種子や苗木を使用しますが、高価であったり産地が不明、使用量が満たされないという問題があります。同種の植物を導入する事が可能であっても、遺伝子の撹乱を招く事にもなります。また、種子の採取を計画しても、限られた地域で固有の植物から計画量を採取する事も困難です。
これらを解決する有効な手段として、森林表土に含まれる埋土種子や再生可能な根茎や塊茎等を緑化材料として用い、さらに法面保護効果を高める為に、客土注入マット工を併用した緑化手法が「エコアップ緑化工法」です。
エコアップ緑化工法は、施工地周辺から採取した森林表土(埋土種子等)を特殊袋状マットに圧送注入する事で、地域系統に由来する植物を導入した植生基盤層を造成する事ができ、浸食著しい法面や岩盤、無土壌地にも長期間安定した法面を実現し、自然遷移を促します。
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地域性系統による緑化が可能である為、侵略種による生態系の撹乱や雑種形成による浸透性交雑等の遺伝子レベルの撹乱を防ぐ事ができます。 |
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成立する植物群落の種組成は多様である為、生物多様性の保全が可能です。 |
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自然環境上重要な地域(自然公園やダム湖周辺等)での活用に適しています。 |
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表土真空吸引システム(エコアップレシーバー)は、林内に機械を投入せず効率的に表土を採取できるので、掘削機械による林床破壊がなく、大規模な面積にも対応可能です。 |
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表土を特殊袋状マット内部に圧送注入する事で、長期間安定した表土植生基盤を法面に造成する事ができ、発芽緩慢(播種後1~2年目以降)な埋土種子の流出を確実に防止します。 |
表土厚の確認 |
撒き出し試験 |
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表土吸引状況 |
表土回収状況 | |
ソウケンフォーム布設状況 |
表土生育基盤材注入状況 |