近年、野生のニホンジカ(以下、シカ)の生息数、生息範囲の広がりにより、農業被害、林業被害、生態系被害等が大きな問題となっています。
法面緑化工においては、長く外来牧草主体の緑化が施されてきました。しかし、シカの増加とともに彼らの好物である外来牧草が豊富に繁茂する法面にシカが出没するようになります。シカが採食のために法面を登攀すると植生が衰退し植生基盤材が踏み荒らされ裸地化が生じます。
また、平成18年度と同24年度の会計検査では緑化工でのシカ対策が不十分との指摘も受けています。
こうした法面緑化工におけるシカ対策として、従来からの「バイオ・オーガニック(BO)工法」を発展させた工法「バイオ・オーガニック・ディア(BD)工法」をご提案いたします。
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シカが好む植物を導入しない 外来牧草の嗜好性植物が多いので、シカの嗜好性植物の導入を控えることが重要です。 |
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法面にシカが侵入し踏み荒らされても浸食しない工法 植生基材は容易に踏み荒らされ、吹付けた生育基盤材は浸食します。 |
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地域に自生している不嗜好性植物(地域性植物)を上手に利用する |
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シカが登攀しても生育基盤・法面の浸食はない 当協会の基本工法であるバイオ・オーガニック(BO)工法よりもシカの登攀・踏み荒らしにも耐え、注入マットが確実に植生基盤を守り、法面の浸食防止効果を発揮します。 |
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早期緑化せずに浸食防止機能を長期間維持する 注入マットに注入された植生基盤材は、注入マット内にあるので、浸食防止のための早期緑化に必要な外来牧草を大量に導入(シカの嗜好性植物が多い=シカの餌場づくり)する必要がありません。 |
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施工時はもちろん、施工後もシカの不嗜好性植物を導入することが可能 シカが採食のため寄り付かないように道路法面を不嗜好性植物で緑化することがシカと車との衝突事故抑制に有効な対策の一つとして期待されていますが、当工法は施工後でも播種・植栽の導入が可能です。地域に自生している不嗜好性植物(地域性植物)を上手に利用することで、一層の効果を発揮します。 |