不動産鑑定士という職業・資格についてのご案内

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不動産鑑定士とは

不動産鑑定士の必要性

不動産鑑定士という職業は、一般には馴染みがありません。周囲に訊ねてみても、その存在を知る人は10人に1人といったところでしょうか。
けれど、相続税路線価評価、固定資産税評価、その基礎となる公示価格、基準地価格の評価などで、間接的に一般の人の生活に密接な関連性を持っているのもまた事実なのです。

不動産鑑定士とは?

不動産鑑定士とは不動産鑑定士試験に合格し、国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録を受けた人です。
不動産鑑定士の仕事は公共団体からの依頼が多いので、安定した収入が得られるという点は確かにあります。
けれど、最近では公共からの仕事が激減するとともに、入札制度が導入されてからは民間会社や個人から仕事を受注するために工夫をしている不動産鑑定士もいます。しかし、業界そのものは衰退傾向にあります。若い不動産鑑定士は独立志向が弱く、一般会社内で活用できる資格として取得する人も多いようです。

試験制度について

不動産鑑定士試験は、以前は第1次、第2次及び第3次試験とありましたが、2006年度より試験体系の簡素化や合理化のため1回2段階制の新試験制度(短答試験、論文試験)となりました。
短答試験は不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論について出題されます。この短答試験に合格し、論文試験に不合格となったものは、その後2年間短答試験が免除されます。
論文試験は民法、会計学、経済学、不動産鑑定理論、不動産鑑定理論の演習から出題されます。論文試験合格後、実務修習、終了考査という一連の手順を経て不動産鑑定士となることが出来ます。

不動産鑑定士は「不動産鑑定評価基準書」をバイブルとして各種の仕事をしています。
したがって、受験生の皆様は、まずこの「不動産鑑定評価基準」を理解することが何よりも優先すべきことになります。暗記することが多く、それなりに大変ですが、業務を行なう上で欠くことのできない知識なので、がんばってくださいね。

また、以前の制度では不動産鑑定士になるためには最低2年間の実務経験が必要でした。現行制度ではこの実務経験がなくなりましたから、受験し易くなったようです。
けれど、全く実務経験がないまま開業してやって行くのは、ちょっと難しい。いずれにせよ合格後に実務経験を積むべきでしょうね。

不動産鑑定業

不動産鑑定業とは自ら行うと他人を使用して行うとは問わず、他人の求めに応じ報酬を得て不動産の鑑定評価を業といて行うことをいい、不動産鑑定業を営むためには不動産鑑定業者の登録を受けなければならない(抜粋)。

『不動産鑑定評価基準』には、 「不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもそれは個別的な事情に左右されがちであって、不動産は適正な価格を形成する市場を持つことが困難である。したがって不動産の適正な価格については専門家としての不動産鑑定士の鑑定評価が必要となるものである」と、あります(抜粋)。
いわば、市場の代行機能としての役割が不動産鑑定士の仕事ということでしょう。

不動産鑑定士の主な業務(抜粋)

  1. 売買のための鑑定評価
    売手が適正な売却価格を決定する際の資料として、買手が提示価格の妥当性を確かめるための目的で依頼する場合。
  2. 賃貸借のための鑑定評価
    店舗やマンションの適正賃料の算定。賃貸借契約の更新に際し、地代や家賃を適正な水準に改定する場合。借地、借家に関する紛争解決のために鑑定評価書が必要な場合。
  3. コンサルティング業務
    個人、民間会社を問わず所有不動産の最も効率的な利用方法、運用方法等についてコンサルティングする。
  4. 不動産を担保にする場合
    金融機関が資金を貸し付ける場合に提供される担保を評価する場合。
  5. 相続などで適正な価格が必要なとき
    相続税額算定のため時価評価が必要な時。公平な財産分配が必要な時。
  6. 課税上の不服申立や裁判上に必要な時
  7. 補償のための鑑定評価
    土地収用や都市計画法によって土地が収用される場合の補償金額算定のために行われる。
  8. 共同ビルの権利調整や再開発関連の調整業務
  9. 清算、公売のための鑑定評価
  10. 工場財団の評価
    機械設備を含む工場の土地・建物を担保提供するときの鑑定評価。
  11. 会社合併時の評価換え、固定資産の評価換え等の企業会計処理のための鑑定評価
  12. 地価公示、地価調査、相続路線価評価、固定資産税評価