Vol.3 No.325 フィルター市場の現状分析と展望
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≪フィルターに必要なのは繊維径分布のシャープなナノファイバー濾材≫
【ナノファイバーによる濾材開発】
ナノファイバーの種類は多いが、フィルターに最もよく利用されているのはエレクトロスピニング、メルトブローなどの紡糸直結型不織布であり、
これらの不織布は強度が低いため他の不織布と複合化して濾材が作製される。メルトブローでは直径1〜3μm程度のマイクロファイバー不織布が
エアフィルター、液体フィルターに広く利用されており、現在では繊維径200nmのナノファイバー不織布も生産可能となっている。エレクトロ
スピニングは繊維径が数十nmまでの不織布がフィルターに利用されている。しかしながら、紡糸直結型不織布は溶融ポリマーや原料溶液を吹き付けて
紡糸するため繊維の直径が不均一になり、繊維径や孔径の分布が広い。エレクトロスピニングの分布曲線は比較的シャープであるが、メルトブローは
エレクトロスピニングに比べて分布範囲が広く、濾材には分布曲線がシャープで、均一性の高い不織布が求められている。
タピルスはフィルターやマスクへの応用を目的に、均一性の高いナノファイバー不織布を開発している。図1に極細繊維と超極細繊維による
PPメルトブロー不織布の繊維径分布を示す。従来の不織布は繊維径の最頻値が600〜900nmの間にあるが、超極細メルトブロー不織布は最頻値が350nm付近
にシャープな形で存在する。超極細メルトブロー不織布は太い繊維の割合が非常に少なく、このため平均繊維径が約400nm(相加平均値)となり、最頻値と
平均値の差が小さい。また、不織布の孔径も従来品より小さく、孔径分布が狭くて曲線がシャープになる。