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平成23年 2月号 No.86

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トラフグの炙り造り

torafugu-aburi


フグが美味しい季節だ。

何と言っても高級魚ゆえに、庶民には高嶺の花の存在かもしれないが、全く手が出ないことはない価格を、実現できないことはない。

例えば上の商品は、1,000円以下の売価でも可能である。

上のトラフグ刺身は、下の写真のものをつかった。

torafugumaru

手頃な価格の理由は、普通「てっさ」とも呼ばれる超薄切りにしたフグの刺身は、基本的に「活き物」を使うのだが、これは「締まり」だったからである。

「てっさ」とは「鉄の刺身」を略した言葉で、ふぐには猛毒があり「当たると死ぬ」という意味から、ふぐを「鉄砲」と喩えて呼び、その略称として「鉄」と呼んだことから、このような呼び方になったようだ。


締まりのトラフグでも、基本的に解体方法は活き物と一緒で、まず口先、両胸ビレ、背ビレ、腹ビレを切り落とす・・・、

torafugukaitai1

・・・と、ここまでは解体工程を写真で説明していこうとしたのだが、あまりにも長くなりそうなので手抜きをすることにした。


Web版ではなく、月刊誌 FISH FOOD TIMES 平成4年(1992)1月新年号(第12号)の、

「フグ特集号」に掲載したのが、下の解体工程。

1ページでは全行程写真が納めきれないので、1から20工程と、21から48工程は分けている。

今回の巻頭写真を造ったトラフグとは別物だが、工程は同じだと想像していただこう。

torafugukaitai1


ここまでの工程で何をしたかと言えば、下の図の毒性臓器を除去したのだ。

 

poison

 

フグをフグたらしめている真骨頂の毒、テトロドトキシンは、このなかに潜んでいる。

フグ毒の表示はMUの単位で表される。

MUとはマウスの体重1匹(約20g)当りを殺す毒力のこと。

人間の致死量はだいたい1万MUだと言われ、1g当り5000MUと毒力の強いクサフグの肝臓は「2g」食べたら死ぬことになる。

ちなみに1000MU以上の独力のあるものは「猛毒」と位置づけられ、その毒性の強さは青酸カリの約1,000倍に匹敵する。

青酸カリは、極めて急激に作用するのに対して、フグ毒は中毒症状がでるまで20〜30分かかり、食べてから死ぬまでに1時間半以上も苦しめられるということだ。


さて、上の写真と同様の工程を経て出来上がったのがこれ。

いわゆる「ミガキ」と呼ばれる状態だ。

torafugu migaki

「ウグイス骨(尻ビレの付け根の筋肉)」を除去していない段階で写真を撮ったので、血抜きはまだ完全ではないことはご勘弁。


このミガキから頭を外して適当な大きさに切り、胴体は大名おろしで三枚におろし、中骨も適当な大きさに切って、盛りつけたのが以下の鍋用商品化の写真だ。

torafugunabe

トラフグ鍋


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  更新日時 平成23年2月1日


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