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平成23年 11月号 No.95-1



ベトナムお魚事情

( 海外編 第3回 )

Basa Fried

  

バサ竜田揚げ             Basa Meuniere


これがベトナムの魚屋さんの様子。

ベトナム南部の大都市ホーチミン(サイゴン)の魚屋さんである。

町中に独立した魚屋さんらしきものは見当らず、市場の中でしか見出せなかった。

下の建物はCho Ben Thanhという名前の大きな市場で、安い物が何でもある大衆百貨店のようなところだった。

魚屋さんはその建物の一階外側の小道に接した所に、肉屋などと一緒にあった。

画像を見て判るように、魚の扱いは日本では考えられないほど非常に原始的だ。

とりあえず氷を使ってはいるようだが、気温30度以上になる場所で、画像で分かるように氷はほんの少しだけだ。

たぶん昔に比べると進化したのであろう、下のような売り方もある。

タライのような容れ物に、ブクブクと空気を加えて魚を活かしているのもある。

店の様子を見ていると、一般のお客さんは少ないようで、一見してレストラン関係者のような玄人筋のお客が多いようだった。

一般的な家庭の主婦は主に魚をどこで買っているのか分からなかった。


筆者はこの市場で、ベトナムに滞在して4日目に、ある魚を探して歩き回っていた。

それは前日のメコン河ツアーに参加して、あることに気づいたからだ。

ベトナムでの魚の養殖といえばエビという先入観があったのだが、メコン河で養殖されていたのはエビではなく、主にバサーという魚と説明を受けた。

川岸の近くには水面に浮かぶ家がたくさんあり、水上生活者なのだろうかと思った。ところがそれは生活のための住居ではなく、養殖のための作業小屋であり、下の画像のように、手作業で餌を撒いている最中の様子も見ることが出来た。

ガイドさんの話によると、その魚はほとんどアメリカに輸出されているとのことで、地元ベトナムでは、時々天然のその魚が獲れた時は別として、現地の人がわざわざ養殖魚を買って食べることは少ないとのことだった。

その魚は現地の人にとって魅力的な、それなりに高い価格で輸出できるようで、養殖のための作業小屋は夜になると防犯のために、犬を放っているということだ。


筆者の頭では20年くらい前に日本で一時期もてはやされた淡水魚ティラピアとか、スギのようなものではないかと想像したのだが、実物を見ることは出来なかった。

そこで当日の夜は、ツアー会社スタッフお勧めの、海鮮料理で有名なレストラン「Song Ngu」へ行って、バサー料理を注文したのだが、その魚を使った料理はないということだった。


こういうことから翌日は、未知の魚「バサー」捜索の日となったのである。

チョロン地区の「Cho Binh Tay」という大きな市場にも行ったが見つからず、再び「Cho Ben Thanh」の市場へも行って探してみることにした。


この日はガイド無しで、ホーチミン市内の単独行動だったので、英語は全く通じない魚屋のオバチャンや オジチャンに、ベトナム語で、Co Khong Basa?(コーコンバサー?)バサーありますか?

と何度も何人もの人に、この日2万歩以上を歩きながら問いかけ続けた。魚屋さんという商売のはずなのに、ほとんどの人が無愛想で反応がなく、とても無理なのか、と諦めかけていたところ幸運が舞い降りてきた。

ある店の小さな丸椅子に腰掛けて店番していた太った無愛想なオバチャンが、不機嫌な顔で「これだ・・・」と指さしたのだった。

私は嬉しくなって写真を勝手に撮りだしたところ、横にいた客らしき女性が、親切にも私が写真を撮りやすいようにと、女主人には了解もなくサッサと自分の手で、魚を下の画像のように置き直してくれたのだった。

気持ちとしては、その女性に「左頭」にしてくれと言いたかったのだが、ベトナム語でそんな表現が出来るはずもなく諦めた。

バサーが見つかった喜びと、女性の親切な行動への嬉しさで、気持ちは高ぶった。

「ヤッター」と願っていた物がやっと見つかった時に味わう久々の感動だった。


せっかくなので、上の写真を拡大してお見せしよう。

この名前と画像を頼りに帰国して、この魚のことを調べたところ、バサーではなく、Basa(バサ)と短く呼び、ナマズの一種だった。


このままだと1ページが長くなり過ぎるので、続きに興味がある方は、次ページへどうぞ。

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 更新日時 平成23年11月 6日

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