Vol.3 No.324 超精密研磨材と半導体の市場&開発動向
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≪半導体には様々な研磨工程がある≫
【半導体製造の研磨加工】
フォトマスクはマスクブランクスに半導体の回路パターンを形成したもので、露光でウエハに回路を転写する際の原版である。
マスクブランクスはガラス基板に金属膜と感光膜を塗布したもので、これに回路パターンを現像してフォトマスクになる。半導体
の回路は微細化、複雑化しているため、ガラス基板には高い平坦度と欠陥の低減が求められている。ガラス基板は一次・二次研磨、
仕上げ研磨などを経て、表面の精度が高められる。研磨パッドにはウレタン含浸不織布や発泡ポリウレタン、スエードなどが用いられ、
研磨スラリーにはコロイダルシリカ、酸化セリウムなどの砥粒が用いられている。最先端の半導体では極端紫外線(EUV)露光が採用されており、
半導体回路の線幅は7nmから5nm、3nmへ微細化している。このためマスクブランクスのガラス基板に求められる研磨精度も厳しくなっている。
インゴットからスライスされたシリコンウエハの研磨は平坦化が基本であり、ラッピング、エッチングによる一次平坦化、ポリシングに
よる二次平坦化に分けられる。一次平坦化は砥粒にアルミナを用いて両面ラップ盤などで加工し、二次平坦化は一次、二次、仕上げの各段階
に分けたポリシングである。スラリーにはアルカリ水溶液に超微粒子を分散したコロイダルシリカなどが用いられ、パッドにはウレタン
含浸不織布やスエードが使用される。ウエハ研磨ではパワー半導体に適用されるSiC、GaNなどのウエハもあり、これらは高硬度の超難加工材料で、
研磨に多大な時間を要する。このためSiCウエハ、GaNウエハの高効率化を目指して様々な研磨技術の開発が進められている。
平坦化されたウエハには回路が形成されるが、デバイス製造では素子分離、層間絶縁膜、タングステンプラグ、銅ダマシン配線、Low−k層間絶縁など、
多様な材料を対象にしたCMP加工が行われる。半導体は高性能化に伴って多層化が進んでおり、このためCMPの回数が増えている。デバイスが完成した
ウエハは、ウエハ裏面を研削して薄くするバックグラインド加工が施される。口径300mmのシリコンウエハは厚さが775μmであるが、携帯電話機向けの
半導体ではウエハの厚さが50μm程度にまで薄くされる。バックグラインドは高速回転するカップ型砥石などで裏面が研削されるが、ウエハが薄くなる
ため破損につながるチッピングなどが発生しないように進めなければならない。