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 Vol.3 No.322 生分解性プラスチックの製品/用途/市場動向        この書籍に移動 >>>

 

≪ごみ対策で重要性が増していく海洋生分解性≫


【海洋生分解の課題と開発目標】
 生分解性プラスチックは環境によって分解速度が大きく異なり、またコンポスト中でのみ無機化するものと、土壌、淡水、 海水など自然環境中でも無機化するものがある。PLA(ポリ乳酸)は中温の自然環境下では最初の加水分解が起こりにくいため 非分解性プラスチックとして振舞い、コンポスト中の高温多湿下で加水分解が促進され、その後、微生物によって無機化される。 このようにコンポスト中でのみ生分解されるプラスチックは、海水での生分解は期待できない。表2−11では、PHA(ポリヒドロ キシアルカン酸)とPCL(ポリカプロラクトン)が海洋環境中での分解速度が速く、PBSu(ポリブチレンサクシネート)、PBSA(ポリ ブチレンサクシネートアジペート)、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)は分解速度が遅い。これは、海洋中は他の 環境に比較して微生物濃度が極端に低く、分解微生物種も土壌や淡水のものと異なることが要因の一つにあげられている。 土壌中に存在する微生物の数(生菌数)は1g当たり109個程度とされているが、海水中は1mL当たり103〜106個程度とみられている。 海水中の微生物は土壌に比べてかなり少ないが、それでも多くの微生物(群集)が存在する。生分解性プラスチックはもともと陸域 でのごみ散乱を解決するものとして注目されたことから、酵素加水分解性、活性汚泥生分解性、土壌生分解性、土壌からの分解菌 単離、バイオガス化などに関する詳細な研究報告は多数あるが、海域での生分解に関しては定量的な研究報告が少ない。海水は 土壌に比較して微生物が少ないため分解速度が遅くなると思われがちであるが、土壌では微生物がプラスチック表面に接触する 機会が限定されるのに対して、海水中では常に新しい海水がプラスチック表面に接触しているため、微生物の数のみでは比較できない。
 生分解性プラスチックの開発目標として、使用時の耐久性と生分解性の両立、分解開始時期の制御、分解速度の向上、深海に おける生分解性などがあげられる。耐久性と生分解性の両立は生分解性プラスチックが開発された当初からの課題でもある。 生分解性プラスチックは、製品を使用している間は劣化することなく初期の物性を保ち、廃棄された時には速やかに分解すること が求められている。また、プラスチック製品がポイ捨てなどで自然界に放置されると同時に、分解が開始するという分解開始制御 のニーズもある。さらに、自然界に散乱したプラスチックごみを蓄積させないためには、分解速度の速いことが望まれる。海洋には 海流などによってごみが集積しやすい場所があり、そのような場所にプラスチックごみが堆積する前に分解、消滅することが望まれる。 海洋に流出したプラスチックごみの多くは水深数千mの海底に滞留していることが確認されている。深海底にある非生分解性プラスチック ごみは分解されずにそのまま残るが、生分解性プラスチックごみは徐々に分解していくことが確認されている。深海底には浅海のような 波の衝撃がなく、紫外線も届かないため物理的な分解が起きにくいが、それでも生分解機能があれば分解が進行していく。

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