Vol.3 No.323 高機能・高精度フィルターの現状と展望
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≪CMPスラリー濾過で大切なのは最良のフィルター配置≫
【スラリー供給フローとフィルター適用部位】
CMPスラリーには、スラリーメーカーが一定の希釈倍率にして供給するものと、ユーザー自身が自社の研磨に適した濃度に希釈
して使用するものがある。図2−10に、自社で希釈する場合のスラリー供給フローとフィルターの配置例を示す。供給タンクは
スラリーメーカーから輸送されたスラリーを受入れるタンクで、供給タンクのスラリーはポンプで希釈・混合装置に送られて目的
の倍率に希釈される。希釈されたスラリーは循環タンクへ送られ、循環タンクから個々の研磨(CMP)装置に供給される。フィルター
には、スラリー供給タンクから希釈・混合装置へ移送する間のシングルパス(SP)フィルター、循環タンクの後段に設けられた循環
フィルター、各研磨装置のスラリー供給口直前に配置される局所(POU)フィルターなどがある。局所フィルターはスラリー濾過の
ファイナルフィルターである。
スラリーは、スラリーメーカーから出荷されてデバイスメーカーへ届くまでの輸送過程で粒子の凝集やゲルが生成するため、供給
タンクの後段にフィルターを設けてそれらを除去しなければならない。図1では希釈・混合装置と循環タンクの間にフィルター
が配置されていないが、この間にも希釈後フィルターを設けて希釈スラリーの精度を高めることがある。循環タンクから研磨装置に
至る過程では、循環タンクの直後と研磨装置の直前にフィルターを設け、2段階でスラリーが濾過される。研磨装置へ供給されずに
残ったスラリーは循環タンクに戻され、再び循環フィルターを経て研磨装置へ送られるが、この循環プロセスでも粒子の粗大化やゲル
が生成されることがある。図2−10のフィルター配置は一つの例であり、スラリー供給ラインのどの位置にフィルターを設けるかは
重要である。半導体デバイスの欠陥を最も効率よく防ぐことのできる位置を種々の試験、評価で検討し、最良の製造ラインを構築しな
ければならない。