配置販売業 株式会社 家庭薬新聞社
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配置販売業(はいちはんばいぎょう)とは


一昔前までは「柳行李(やなぎごうり)」と呼ばれる独特の医薬品収納ケースを利用して各消費者家庭を訪問し、薬の入れ替え作業を行っていました
 ご家庭に薬箱を預け、その後、定期的に訪問して薬の点検や入れ替え、情報提供を行う「置き薬」をご存知ですか。これは、古く江戸時代頃から「越中富山」や「大和(奈良)」、「日野(滋賀)」、「甲賀(同)」、「田代(佐賀)」など各地の「売薬商人」が全国を駆け回り、地域の人々に薬を供給しながら、病気治療や健康維持に大きな役割を果たしてきた、300有余年に及ぶ歴史と伝統を誇る医薬品販売業です。その販売システムは、預けておいた薬のうち、使用してあった分の代金だけを次回訪問時に精算するもので、「先用後利(用を先にして利を後にする)」という消費者本位の理念に基づいた日本独特のスタイル。急な発熱や痛み、キズ、そしてかぜや腹痛など、万が一に備えて必要な薬が手近に備えておける便利なシステムといえます。現代のクレジット販売の先駆けとして、その利便性が各方面の流通分野で高く評価され、注目を浴びているものです。

 今も、地域の人々に薬の安定供給と的確な情報提供、健康相談を行うため、全国各地に「置き薬」業者が存在しており、昔ながらに出張して業に携わる方もあれば、消費者家庭により近い存在となるため住居や営業拠点を現地に構える方、さらに企業化して一層、地域密着を図る方など、その形態もさまざまですが、従事者総数は全国で約3万人を数えています。
 この「置き薬」は、薬事法に規定されているものであり、正式名称は「医薬品配置販売業」。業に従事するには所在地の都道府県知事が発行する身分証明書が必要。そして業を営むには、一定の要件をクリヤーし、知事の許可を取得しなければなりません。さらに、薬を正しく使用してもらうため、薬事法上で情報提供の努力義務が課せられていますが、配置販売業者や配置薬メーカー各社で組織する全国配置家庭薬協会では全国統一研修会を実施して、配置販売に携わる人に必要とされる医薬学知識の勉強に励んでいます。

現在、柳行李がトランクに姿を変えるなど、配置販売業の道具は近代化の一途を辿っていますが、その商売方法、理念は今でも変わることはありません
写真左は紙風船、右は売薬版画。いずれも、現在のおまけ商法の先駆けとなる配置員の「お土産」でした
 「置き薬」が取り扱う薬には古くから使用され、安全性や有効性が確立されたものが多く、動物・植物など天然の生薬を用いた独自の製剤も特徴的。近年では、世界各国の伝統的な食や療法に基づいた健康素材、今流行のビタミン、ミネラルなどの「サプリメント」、特定保健用食品など、日頃からの病気予防や健康維持、増進に活用したい商品の品揃えにも努め、「フェイス・トゥ・フェイス」の対面販売で消費者に適した情報を添えながら、お届けしています。

 このほか、各都道府県の「置き薬」業者で構成する配置協議会(協会)など業界団体では、一般消費家庭における正しい医薬品の使用に関する啓発、低年齢化が問題視される薬物乱用防止、国内の血液需給不足が問題視されている献血の推進などについて、家庭や地域社会における普及・啓発活動に協力しており、そうした側面からも地域の保健衛生向上に貢献しています。



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