「ロコモティブシンドローム」は、直訳すれば、「運動器症候群」です。
そこでロコモを理解する上で欠かすことができないのが「運動器」の仕組みです。
例えば、右手の人差指を動かす場合、右手の人差指の筋肉が収縮することで起こると考えがちですが、実際はもっと複雑です。まず、脳からの命令が脊髄を通り、末梢神経に送られ、筋肉に信号として伝わります。筋肉は収縮し、腱とでつながっている骨が動きます。その骨も関節にある軟骨があって初めてスムーズに動くのです。この運動器の仕組みは、それぞれが連携して働いています。どこか一ヶ所でも不具合が生じれば、体はうまく動きません。同時に他の機能にも影響を与え、移動能力(体を動かす能力)は低下するのです。
もともと運動器の問題、病気は個々にとらえられていましたが、それを全体としてとらえる考え方から生まれたのが、ロコモティブシンドロームなのです。

ロコモティブシンドロームの原因は、「骨や関節の病気」と「筋力・バランス能力の低下」の2つに分けられます。
●骨や関節の病気
1.骨粗鬆症
骨の密度が低下することで骨が弱くなる病気です。そのため、ちょっとしたことで骨折が起こりやすく、それによって歩行が困難になることがあります。
2.変形性関節症
関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じる病気です。そのために歩行に影響が現れます。進行すると骨の形が変形してきます。膝関節や股関節などに多く起こりますが、腰椎など背骨の関節にも起こります。
3.脊柱管狭窄症
背骨の中の神経が通っている部分を「脊柱管」といいます。脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、圧迫によって神経の働きが低下してしまう病気です。
そのため、圧迫された神経が司っている筋肉の機能も低下し、「長く歩けない」「歩いていると痛みが出てくる」などの症状が現れます。
●筋力・バランス能力の低下
筋力やバランス能力が衰えることも、ロコモの重要な原因。
筋力やバランス能力が低下すると、ふらついたり、つまずいたりすることが多くなります。そのことによって転倒しやすくなり、骨折のリスクも高まります。
そこから要介護の状態になったり、寝たきりになったりすることがあります。
筋力やバランス能力の低下は、骨と関節の病気と異なり、気づきにくいという点が大きな問題と言えます。そのため、どうしても対策が遅れやすいのです。

日頃から筋力を強化し、病気がある場合は治療する
骨や関節の病気がある場合、ロコモを防ぐためには、まずその病気を治療することが必要になります。しかし、病気が治ればそれでよいというわけではありません。歩く能力全体に注目し、改善していくことが大切なのです。
例えば骨折した場合を考えてみます。手術で骨折を治したとしても、それだけでは十分ではありません。骨折したことで筋力が低下しているので、しっかり歩けるようにするためには、治ったあとにトレーニングを行う必要があるのです。
また、骨折が治っても、膝関節の軟骨がすり減っていたりすると、全体として歩行能力が低下してしまうこともあります。
病気そのものを治療することは欠かせませんが、一つ一つの病気を治せばよいと考えるのではなく、歩くための総合的な能力に注目することが大切なのです。
骨や関節の病気がない場合には、現在の筋力やバランス能力が、どのような状態にあるのかを明らかにしておきます。もしそれらが低下しているのであれば、なるべく早い段階でトレーニングを開始する必要があります。

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