脳卒中というと、一般に冬がいちばん危険だと思われています。
かつては脳卒中のうちでも、血圧の影響をより大きく受ける脳出血が多かったため、血圧が高くなる冬に脳卒中を発症するケースが多かったのです。
 しかし、急増中の脳梗塞は、冬に多いというわけではありません。お年寄りの場合は、むしろ夏に発症することもよくあるので、注意をしておく必要があります。

 夏には、次のような点に注意しましょう。

(1)脱水
 夏にはたくさん汗をかきますが、特にお年寄りは、のどの渇きを感じにくく、十分な水分補給をせずに、脱水状態になることがあります。
体内の水分が減ると、血液が濃くなり、血栓ができやすくなります。
 のどの渇きがなくても、定期的に水分をとりましょう。寝ている間に汗をかいて脱水状態になることもあるので、寝る前にコップ1杯の水分をとると効果的です。
 ゴルフ、ウォーキングなどの運動で汗をかくときも、きちんと水分をとりましょう。
(2)夏かぜ
 かぜなどの感染症を起こすと、ウイルスなどに抵抗するために血液中の白血球やフィブリノーゲンには血液を固める働きがあるため、血栓ができやすくなります。
 また、熱が出ると脱水症状になりやすいので、水分補給を忘れないでください。
(3)温度差
 暑い屋外からクーラーの効いた室内に入ると、血管が収縮して、脳梗塞が起きやすくなります。室内の冷やし過ぎには、十分に注意しましょう。

(1)ラクナ梗塞
 脳の細い血管が詰まって起こるタイプです。主な原因は高血圧です。細い血管の壁は、薄くてもろいため、高血圧で常に高い圧力がかかっていると、それに耐えるためにだんだんと厚くなります。そのために、血管の内腔が狭くなり、最終的には詰まってしまいます。
(2)アテローム血栓性脳梗塞
 動脈硬化が原因でできる血栓(血液のかたまり)によって、脳の太い血管が詰まるタイプです。
 コレステロールなどが血管壁に入り込むと、そこにアテロームと呼ばれるおかゆのような塊ができて、血管の内腔が狭くなります。
アテロームが破裂すると、そこに血小板が付着して血栓ができ、血管を詰まらせます。
(3)心原性脳塞栓症
 心臓病が原因で起こります。「心筋梗塞」や「心臓弁膜症」が原因となることもありますが、不整脈の一種である「心房細動」が最大の原因です。
 心房細動によって心臓の拍動のリズムが乱れると、心臓内に血栓ができやすくなります。この血栓が、血流に乗って脳に流れ込み、血管を塞いでしまいます。
 ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞は、活動時・安静時を問わず起こり、比較的ゆっくりと症状が現れます。しかし心原性塞栓では、活動時に、突然大きな発作が起こることが多いといわれています。

一時的に脳血管が詰まって前ぶれの症状が現れる
 脳梗塞といえば、ある日突然、襲われる病気だと思われています。
確かに、急激に起こるものが大半なのですが、実は大きな発作を起こす前に、予兆のような症状が現れることがあります。これを「TIA=一過性脳虚血発作」といいます。
 TIAは、一時的に脳の血管に血栓が詰まることが原因です。手足の麻痺やしびれ、手足がうまく動かせないといった症状は現れますが、ほんの数分から長くても24時間以内に消えます。これは、自然に血栓が溶けるためです。この段階で異変に気づき、すぐに治療すれば、脳梗塞を防ぐことができるのです。
(1)体の片側に麻痺が起こる
 体の左右どちらかに麻痺が出たり、動かしにくくなる。ペンやコップが持てないなどの症状が出る。
(2)体の片側のしびれ
 体の左右どちらかにしびれが出たり、感覚が鈍くなったような症状が出る。
(3)ろれつが回らない
 ろれつが回らなくなったり、しゃべろうとしても言葉がうまく出てこないといった症状が出る。
(4)めまいやふらつき
 めまいがして立っていられないといった症状が現れる。グルグル回る回転性めまいと、フラフラする浮動性めまいがある。
(5)視野が欠ける
 視野の半分が欠けて見えなくなるといった症状が出る。
(6)物が見えにくい
 片方の目がかすんで見えにくくなったり、暗くなって見えなくなることがある。

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